8月28日10時12分配信 ダイヤモンド・オンライン
牛の糞や下水の汚泥が今、高止まりする原油など
化石燃料の代替エネルギーとして熱視線を浴びている。
たかが牛糞と侮るなかれ。こうした有機性の廃棄物を
発酵させると天然ガスとほぼ同じ成分のメタンガスが
できるのだ。
「バイオガス」と呼ばれ、スウェーデンなどではすでに、
新エネルギーとしてバイオエタノール以上の広がりを
みせている。
日本国内でも普及に向けた動きが加速しつつある。
その実用化に意欲を見せるのが、環境分野に復活を
かける商社の兼松だ。今年1月、同社は出光興産など
11社で、新会社法で認められた「合同会社」方式によって
「バイオガス・ネット・ジャパン」を設立。代表となった兼松が
事業化への取り組みをリードしてきた。
バイオガスの原料はいってみれば、畜産農家や下水処理場、
ごみ処理施設から出る単なるゴミ。同じバイオ燃料でも、
大量のサトウキビやトウモロコシを使用するバイオエタノール
とは異なり、穀物価格の高騰をまねく心配もない。
さらに「二酸化炭素の21倍もの温暖化効果があるメタンガス
の排出を削減でき、化石燃料の使用減にもつながる、
一石二鳥のエネルギー」(兼松事業推進部)。
工場内での熱利用をはじめ、将来的には家庭などでの
活用も期待されている。
エネルギー効率の低さが欠点だったが、合同会社ではすでに、
精製装置によって都市ガス相当の品質に高められることを
実証済み。北海道の畜産農家で出た牛糞をもとに、レストラン
「びっくりドンキー」のハンバーグ工場へのガス供給も行ってきた。
「今後はトータル費用の圧縮が課題だが、理論上はコスト
ダウンの道筋も立ってきた」。そう展望する兼松には、
何としてもこの事業を成功させたい理由があった。
1990年代に経営が急速に悪化した同社は、事業規模を
3分の1に縮小する「構造改革」を断行、多くの部門を切り売り
しながら再建を図ってきた。結果、経営は持ち直したものの
「総合商社」の看板を下ろすかたちに。
2008年3月期の純利益は連結で過去10年では最高の
190億円を記録したが、資源価格の高騰の恩恵を受け
数千億円規模の純利益を叩き出した大手総合商社との
差は広がる一方だった。
バイオガス事業は今でこそ政府の補助金なしには進まないが、
潜在的な国内市場規模は2000億円超と見込まれる。
地産地消型のエネルギー事業として期待する自治体も多く、
兼松経営企画室は「今でこそ注目度の低いニッチな分野では
あるが、将来的には高収益事業に育て上げて巻き返しを
図りたい」と力を込める。
合同会社ではこのほど新たに、輸送コスト削減につながる
新型ボンベの開発や、ガス管による一般家庭などへのガス
供給の安全性の検証に着手することも決まった。
兼松事業推進部は「今は着実にノウハウを積み上げていく
ことが重要。農家や工場から出たガスをいかに外部に販売
していくか、回収、精製、輸送、供給という全体のビジネス
モデルを構築しているのは我われだけだろう」と強調する。
採算ラインに乗れば、2010年中には合同会社を株式会社化
する予定。牛糞から生まれたガスが、復活を狙う「元総合商社」、
さらには地球環境の切り札となる日も近いのかもしれない。
(『週刊ダイヤモンド』編集部 山口圭介)
【コメント】
すごい!すばらしいですね!
マイナスをプラスに変える発想にこれからも期待しましょう!
牛のメタンガスといえば、ニュージーランド(?)のおなら税を
思い出しますが・・・あれはその後どうなったんだろう?
バイオエタノールに勝るエコ燃料!兼松の“牛糞ガス”が地球を救う